刎ね合い

御存知ですか?ヒガンバナって英語で”red spider lily”とも言うんです。急にギュッて生えててドキってしますね。それは脱線で、私はリコリス全般について考えていました。船に乗ってたんです。川崎の工場群やべえな、全盛期の5割も光ってないな?って生温く察しながら内心リコリスが気になってしょうがない。周りはカップルだらけ過ぎるし私の隣の席の男の座高が高すぎて私は恋人の二の腕を掴む力5割増しになりましたね。その人恋人じゃなかったんですけど。めちゃくちゃ謝りました。「ゴメンナサイ!!」「あ、ハイ...(shine)」その人よりその人の隣のその人の恋人らしき人の視線のほうがシャインに満ち満ちていました。かなしい夜を明けさせるのはこういった人々の光の集合なのだと感動してたら私の手の平のあらゆる溝も湿ってくるというものです。

溝を湿らせるといえば犬の鼻ですね。鼻鏡といって、溝を湿らせることで匂いの分子をより吸着させやすくしてるそうです。私も他人の匂いは絶対に常時知ってたい過激派だし鼻周りなんて常にビチャビチャにさせてたい。保湿めっちゃ大事。ニュートロジーナは正義と伺ってます。湿気に飢えてたまらないのでとりあえず箱根に行ってきます。

で、今です。真冬の箱根からお送りしております。恋人は見つけられなかったので結局緑を呼びつけました。緑は麦わら帽子で来た。グッと来た私は言いました。「箱根だけどカレーメシしか食いたくない」緑は急速に病んで「箱根なんで薔薇百本欲しいッス」と駄々を捏ねる。「百本?構わないけど、パルムの方がよくない?」「パルムにします」「滝を見よう」私と緑は近場の滝をじっと見つめていたんですが私には滝の良さがどうしても理解できない。どうして人は滝を見るのだろう。「部屋戻りたい」「そうっスね、、」

結局部屋で馬鹿みたいに煙草吸って高そうな深い色の木の机の上でお互いの顔を描き合ってゲラゲラ笑い転げた。箱根はこれ。